双子の赤字とは?原因と問題点をわかりやすく解説

双子の赤字

本サイトはプロモーションが含まれています。

「双子の赤字」というと、1980年代のアメリカの出来事で、歴史上の出来事だと思っている人も多いのでは??

現代社会ではあまり関係ないと思われがちですが、現代でも双子の赤字の可能性はアメリカだけでなく日本でもあります。

双子の赤字ってなあに?

これは「財政収支」と「貿易収支」の赤字が2重で起こる状況のことであり、1980年代のレーガン政権下で発生した経済情勢のことです。

双子の赤字の構造

貯蓄<投資
税収<政府支出

上のように、財政構造的な矛盾が起きている状態となります。

そもそも米国の双子の赤字という状況は1980年代に限った問題ではありません。
米国は赤字体質が続いており、2020年でもその状態は続いています。

まりえ

双子の赤字が懸念されているのは、このまま赤字が膨らみ続けて米国内の問題にとどまらず、世界中に波及してしまうのではないか、ということです。

米国経済は世界に影響を及ぼすので、世界へ発展すると深刻な経済混乱が起こる見込みも。

1980年代ロナルド・レーガン政権

レーガン政権の初期は、前大統領のジミー・カーター政権から続いていたスタグフレーションを解消させることが課題でした。

そこでレーガン大統領は、インフレと失業に焦点を当て、政策を取りました。

軍事支出を増大させて政府支出を増やすこと、減税、規制緩和、インフレの鎮静化を目指したこの政策は「レーガノミクス」として知られています。

レーガノミクス

下記の理論のもと、政策が行われました。

  1. 軍事支出を増大させることにより「強いアメリカ」の復活
  2. 減税により労働意欲の向上、貯蓄の増加による投資意欲の促進
  3. 規制緩和による投資の促進
  4. マネーサプライの伸びを抑制してドル高を誘導してインフレ低下をはかる

結果は想定とは異なった

インフレ抑制は実は1970年代から対策がされており、レーガン政権が発足したときにはかなりの高金利になっていました。

そこへ軍事支出の増大と減税を発動したために金利がさらに高まります。

この高金利により日本をはじめとした外国からの資金がアメリカへ流入してきたことでドル高がさらに進み、高金利であるがために民間投資を停滞させることになってしまいました。

ドル高により輸出減退・輸入増大となりインフレ率は低下しましたが、貿易収支が赤字となり、軍事支出の増大により財政収支が赤字となる双子の赤字が発生したのです。

1985年プラザ合意によりドル安へ

レーガン政権はドル高を歓迎していましたが、欧州諸国や日本は、米国の高い金利が自国の金利を下げられない要因ともなっていたため度々ドル高是正を求めていました。

しかし、当初レーガン政権はこれを無視し続けていました。

1985年9月22日「プラザ合意」

先進5か国蔵相・中央銀行総裁会議で、為替レートをファンダメンタルズを反映させたものにすることが合意されました。

これを「プラザ合意」と呼び、これによりドル高是正が合意されたことになります。

先進5か国は強力してドル売り介入を実施し、一気にドル安が進行しました。

また、主要国は米国の利下げに伴い、金利差を縮小させないため、自国の急激な通貨高による景気悪化に対応するために各国が協調して利下げを行いました。

日本はプラザ合意後の低金利政策によりバブル景気に突入

バブル景気

プラザ合意後、ドル/円は日銀の想定を超えるスピードで円高になり、日本では円高不況に陥ります。

日本は輸出産業がかなりの割合を占めているので、円高は多くの日本企業には大打撃です。

そこで日銀は公定歩合を5回引き下げ、1985年に5%であった金利が1987年には2.5%になりました。

金利が下がったことにより、空前の「カネ余り」という状況が起こり、余った資金が株式市場や不動産に流れ、株価や地価がどんどん上がっていき、日経平均株価は史上最高値の3万8,915円を記録しました。

金融引き締めで一転不況へ

不況

しかし、91年頃になって89年から行ってきた金融引き締め等が効果を出し始め、日本はバブル不況へと向かっていきます。

2000年代ジョージ・W・ブッシュ政権

1998年~2001年にかけてのクリントン政権時代には財政黒字ではあったものの、経常赤字は拡大し、ブッシュ政権時代に再び双子の赤字となります。

ITブームの終焉と、減税対策やイラク戦争での出費がかさんだことが原因とされています。

ブッシュ政権時の双子の赤字をきっかけに米国の財政赤字は増えていき、改善する兆しはありません。

トランプ政権で双子の赤字が強まっている

米国では2018年頃から双子の赤字の色合いが強まっています。

2019年10月25日に米財務省が発生した2019会計年度の財政赤字は9840億ドル(約108兆円)と7年ぶりに悪化しました。

2020年度はさらに赤字が膨らむ模様。
1兆ドルに上るものと見られています。

まりえ

2018年度にモノの貿易赤字が過去最大に!
財政赤字&貿易赤字の「双子の赤字」の懸念がされています。

トランプ大統領も貿易赤字の縮小を希望

ドル売り介入論が浮上するなど、ドル高是正に動きやすい状況になっています。

とはいえ「強いドル」を失うリスクを取りたくないのも事実でしょう。

ドルは基軸通貨であり、貿易、投資、原油の取引を自国通貨で決済することができ、為替リスクを負わないという特権を持っています。

双子の赤字によりドルへの信頼が傷つけば、投資家がドルを手放す可能性があります。

ドル高是正を打ち出せばドルから海外勢が逃げる可能性があり、米国としても大胆な是正には動けないというのが実情なのではないでしょうか。

双子の赤字は歴史の話ではない!投資家は今後も要注意

双子の赤字というと学生時代の歴史や政治経済の教科書の中の出来事のように感じますが、現代社会でも十分に起こり得る状況です。

米国は赤字体質から抜け出せない状態が今では通常のようになっていますし、日本でも双子の赤字のような状況にならないとは言い切れません。

双子の赤字是正のためドル高抑制を行えば、ドルは急激に下降する可能性があるので、ドル絡みの通貨ペアを扱うトレーダーだけではなく、FXをしてるなら注目しておくべき事柄でしょう。

まりえ

今年2020年は米国大統領選ですね。
果たして、その結果は?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA